キャバリアとイギリス王室との深い関わり合い①
皆さんは、愛犬の犬種の歴史を知っておりますでしょうか。本日から4回に分けてキャバリアの歴史をご紹介します。愛犬がどのような歴史をたどってきたのか覗いてみましょう。
キャバリアとイギリス王室との深い関わり合い
・文:藤田りか子
もしキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが歴史上存在していなかったら、イギリス人の文化ともいうべくあの動物好きな国民性は誕生していなかっただろう。…なんて言ったら大袈裟だろうか?イギリスの王室の過去、そして彼らとキャバリアの関わり合いを覗いてみると、まんざらその根拠がないとも言い切れない。その歴史とは…?
・もしキャバリアが歴史上存在していなかったら…
何百年も前から、貴族の肖像にはよく白に赤ブチあるいは黒ブチの小型のスパニエルが共に描かれてきた。このことからも判るように、16世紀~19世紀にかけての英国王室には、小型愛玩犬、今のキャバリアの祖先にあたる小型スパニエル(トイスパニエル)飼いの大ブームがあった。それはステータスシンボルとして連れ歩くだけのものではない。愛する対象としてであり、ヴィクトリア女王、ジェームズ一世、二世、チャールズ一世、二世、そしてスコットランドの女王メアリー・スチュアート、と彼らのイヌに対するエキセントリックなまでの溺愛ぶりは、歴史に数々のエピソードを残した程だ。
それまで動物を家族のように可愛がる風潮は世間にはなかったが、王室のこの愛犬トレンドは徐々にイギリス人庶民の動物に対する態度をも変えていったようだ。そして17世紀あたりから、都市の中流階級者の間でも、動物を飼って子供のように可愛がる、つまりペットの所持が急速に増えていったのである。
つまり今日の世界に名だたるイギリス人の動物好き気質は、少なくとも王室からの伝統に根ざすもの、といえそうではないか。そして王室をこんなにも愛犬家に仕立てた張本人、それはまさしくキャバリアに他ならない。だから、もしキャバリアというあの可愛いスパニエル達が歴史上存在していなかったら…??
第1回目はここまで。明日の2回目を楽しみにお待ちください。