ダックスフンドの歴史②
ダックスフンドはハウンドでもある
・文:藤田りか子
当初ダックスフンドはアナグマ狩りがメインの狩猟犬でした。しかし現在ヨーロッパではアナグマ狩りをするダックスフンドというのは、マイナーになりつつあります。
実は、ダックスフンドといえば今断然ハウンド犬猟で頭角をあらわしているイヌなのです。そう、シカ狩りを手伝うイヌとして人気が高い。ダックスフンドを飼っていると聞けば、
「あぁ、シカ狩りするのね」
とこちらも自動的に応えるといったかんじです。これはヨーロッパでも特に北で盛んですね。
ダックスフンドがハウンド犬としてどんな働きをしているか、まず、ハウンド犬機能の一般的な説明をしましょう。
狩猟犬と一概にいっても作業パターンによってタイプがあります。その一つがハウンド犬です。ビーグルが御馴染みですね。レトリーバー種も狩猟犬ですが彼らは主に鳥獣狩りのそれも、撃った後に活躍するイヌたちで、別のカテゴリーに属します。ハウンド犬は銃の火が吹く前に活躍するイヌです。
ハウンド犬の役割はまず獲物の足跡を探しだすこと。探し出したところで、獲物と「コンタクト」をとります。コンタクトというのは、イヌが「この辺にシカがいるだろう」という推測の域を出て、はっきりと、でも見えないけど、今獲物を確実に追っているという手応えが来たときを言います。すると、イヌはワンワンと鳴きだす。もちろん追いながらです。この吠え声は、追いつきたいのに追いつけないというフラストレーションから出ていると言われます。
吠え声に導かれ、ハンターは最終的に獲物に追いつき倒すことができるというわけです。
歴史的にダックスフンドはドイツのハウンド犬、ドイツブラッケの矮小型として進化してきています。ハウンド犬の素質はそこから来ているのでしょう。ダックスフンドはバセット種と同系統とする専門家もいるようですが、彼らは別々に発達していったと考える説が有力です。
ただし近代に入りダックスフンドがバセット種の品種改良に貢献しているのは確かで、例えばバセット・フォーブ・ド・ブレターニュがダックスフンドの血をもらってさらに良き狩猟犬になっています。また、ドイツとスウェーデンにいる別の短足系ハウンド犬種、ドレーベルの作成にも大きく貢献しています。