他の多くの先進国と同様、デンマークでも2020年は犬を家庭に迎える人が増えました。コロナによる規制で在宅ワークを強いられたり多くの時間を家で過ごすようになったりしたのを、むしろちょうどよい機会と捉えた人が多かったということでしょう。ほぼ24時間体制でケアが必要な子犬を迎えるには、確かによいタイミングともいえます。デンマーク・ケネルクラブによりますと、2020年は前年より新規登録数が10%増え、これは2008年以来の一番の増加だそうです。
この現象についてデンマークケネルクラブはとてもポジティブ、「人々の衝動買いによるもの」というような悲観的な印象は持っていないそうです。新規登録統計を見てみると、前年2019年と比較しても、トップ10にあがっている犬種がほぼ同じ、10年前(2010年)の統計と同様に大型犬種と小型犬種がほどよく混ざってバラエティにも富んでいます。単なる流行であれば、突如ある犬種がやたらと増えるというトレンドが起きますが、そのような動向は統計に表れていませんね。おそらく多くの人は、自分たちのライフスタイルにあった犬を慎重に選んでおり、犬を飼う機会を長らく伺っていた末の決断だったに違いありません。
デンマークでも2000年の初めの頃、チワワをはじめとした小型犬が持て囃されるようになりました。その影響を受けて2010年では、ハバニーズとコトン・ド・テュリアールがデンマークで人気を博しました。この2種の圧倒的な人気はヨーロッパでもデンマークだけの現象かもしれません。ハバニーズがデンマークに初めて紹介されたのはたった15年まえにもかかわらず!そして2010年のトレンドは今も続いており、今やデンマークの小型愛玩犬の定番犬種となりました。近頃では隣国のスウェーデンにもハバニーズ人気が到来していますが、おそらくデンマークの影響ではないかと思われます。
▼デンマーク2020年順位トップ10
1位:ラブラドール・レトリーバー
2位:ジャーマン・シェパード・ドッグ
3位:ゴールデン・レトリーバー
4位:ハバニーズ
5位:スタッフォードシャー・ブルテリア
6位:コトン・ド・テュリアール
7位:キャバリア・キングチャールズ・スパニエル
8位:ジャーマン・ワイヤーヘアード・ポインター
9位:イングリッシュ・コッカー・スパニエル
10位:ボーダーコリー
▼デンマーク2010年順位トップ10
1位:ラブラドール・レトリーバー
2位:ジャーマン・シェパード・ドッグ
3位:ゴールデン・レトリーバー
4位:ジャーマン・ワイヤーヘアード・ポインター
5位:イングリッシュ・コッカー・スパニエル
6位:ハバニーズ
7位:フレンチブルドッグ
8位:キャバリア・キングチャールズ・スパニエル
9位:コトン・ド・テュリアール
10位:ケアンテリア
前述したとおり、デンマークの人気犬種トレンドは10年前とほぼ変わっていません。2010年と同じ犬種8種が2020年においてもランクインしています。特にトップ3のラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパード・ドッグ、そしてゴールデン・レトリーバーに関しては、長らくこの順位を保っています。訓練性がよく社会性のある家庭犬として、これら3犬種はほぼ欧米全土にて人気があります。
2020年の8位、2010年の4位のジャーマン・ワイヤーヘアード・ポインターは日本ではまったく馴染みがない犬種ですが、デンマークでは狩猟犬としてはとても一般的です。デンマークの土地と狩猟方法にぴったりの狩猟犬だからです。本犬種は原産国ドイツでも狩猟犬として人気がありトップ10内にランクされています。
もう一つデンマークの人気犬種動向に特徴的なのは、今やフレンチブルドッグの人気が2010年あたりをピークに下火になりはじめていること。2010年では7位、2019年では13位、2020年では16位。これは明らかに他の欧米国の犬種流行トレンドと逆流していますね。その代わりスタフォードシャー・ブルテリアにスポットライトが当たり始めています。この犬種も今、ヨーロッパのあちこちの国で人気があります。