イギリス生まれの犬種とイギリス犬事情③
イギリス生まれの犬種とイギリス犬事情
・文:藤田りか子
希少犬種となった原産犬種
イギリスの原産犬種は、自国のみならず、世界の人気犬種でもあるのをご存知ですか?ラブラドールやボーダーコリー、テリアたちの世界的普及ぶりをみれば明らかです。一方で、イギリスケネルクラブが、2006年から、「減少のおそれのあるイギリスおよびアイルランドの原産犬種」というリストの導入を開始したのは、意外でもあります。しかし人気のある犬種は、約60種という世界一の原産犬種数のうちの、いくつかにすぎません。これだけ数がいれば、やはり稀になりつつある犬種が存在してもおかしくないでしょう。
リストに入る犬種は年間の登録が過去数年にわたって300頭以下であること。よって年によってリストからはずされる犬もいます。実はコーギー・ペンブロークがこのリストに2014年から入っていたのですが、2年前に外されました。その理由は世界で大ヒットしたテレビドラマ「ザ・クラウン」(原題:The Crown)で一躍有名になったから。これは現イギリス女王であるエリザベス2世の半生を描いたドラマ。ここでコーギーが女王のお気に入りの愛玩犬として、シーンのそこここに登場しました。日本では大人気な犬種なだけに、そもそも希少犬種のリストに入った、ということすら意外に感じられるかもしれません。コーギーはイギリスでは「おばちゃんの犬」というイメージが強く、若い世代の間では特に注目を受けていなかったようです。が、このドラマをきっかけに多くの人がその魅力と可愛らしさに改めて気がついたようですね。