チワワの歴史①
皆さんは、愛犬の犬種の歴史を知っておりますでしょうか。本日から3回に分けてチワワの歴史をご紹介します。愛犬がどのような歴史をたどってきたのか覗いてみましょう。
チワワの歴史
・文:藤田りか子
その小ささ、一体どこから来たの?
犬が野生の先祖オオカミから発展したという事実を考えると、チワワのサイズというのは生き物世界の七不思議の一つでもあるだろう。オオカミの体重は30〜50kgだが、そこからややもすれば1.5kgぐらいにしかならない犬種ができあがったのだ。人為的選択交配の結果とはいうが、これもイヌという動物の遺伝子バリエーションの広さを示している。チワワとマスティフの体重を比べれば、そこにはなんと約45倍の開きがあるのだ。馬の世界にも最小であるミニチュア・ホースがいるが、最大級の馬種と比較しても、いくらなんでもそこまで人為的に小さくするのは不可能だった。
謎は謎だけに、一方でチワワはとんでもない誤解を受けていたりする。日本のドッグ・ファンシャーにはとても考えられないことだが、アメリカでは「チワワってネズミとかモグラの親戚?」と質問する人もいるから困ったものだ。ちなみにネズミはげっ歯類、モグラは食虫類。チワワはイヌ科で食肉類に属する。 全く違う動物だ。まだここまでは人々の想像で可愛いものであるが、アメリカのチワワの犬種本(Chihuahua Completely Illustrated with Colour and Photographs By Barbara J Andrews)には、チワワが「フェネック」というアフリカのサハラ砂漠に住むキツネとのミックスではないか、という説が大真面目に展開されている。フェネックは、野生の犬科動物の中では一番小型のキツネ科の動物。なんとチワワ同様に1〜1.5kg程度しかない。おまけに耳が大きく、目がクリクリしている。たしかに見かけはチワワに似てなくもないが、そもそもキツネとイヌの交配は染色体の数が違うので不可能だ。フェネックの耳が大きいのは砂漠に住む動物として熱発散を最大限にするための機能、そして目が大きいのは夜行性だからだ。
現在は犬種の遺伝子を解析してオオカミとのつながり、どのように犬種が繋がっているか研究が盛んに行われている。これら研究でもチワワが他の犬たちの例にもれずオオカミの子孫であるのは明らかだ。そして面白いことに、今から8年前の話だが犬を小型にする遺伝子が見つかったという研究報告 もある。そしてこの遺伝子の仲間が中近東のオオカミにも見つかっているという。