コーギーの歴史②
コーギーの歴史②
・北欧からウェールズへ?
コーギーはイギリスのウェールズ出身だ。コーギーの名前はウェルッシュ語で“Ci Sodli”。これは踵を噛むという意味で英語では“heel”という。つまりコーギーが家畜を追うときに使うテクニックがそのまま名前になっている。名前の由来はこの他にあって、ウェルッシュ語で“Cur Si”あるいは“Cor si”という名前の小さな植物があるのだが、これから来ているのではないかとも考えられている。
その歴史は古く、900年代にウェールズに存在していたと考えられている。その起源はいろいろ説があるが、その一つがスカンディナビア半島の地犬であるヴェスタヨータスピッツをバイキングがウェールズに連れてきたというもの。ヴェスタヨータスピッツとはコーギーによく似た立ち耳の短足胴長犬。牛追い犬として使われていた。このスピッツがウェールズの地に着いた後、地犬と交わり、コーギーが出来上がったのではないか、言われている。
ヴァイキング説はどこまで信憑性があるのか?彼らは特に800年代交易者であると同時に船を駆使し新天地に農耕地を求めた北欧の農牧畜民だ。コーギー・ペンブロークの故郷、ウェールズのペンブロークシャーにはヴァイキングがかつて植民していた証拠として遺跡があるし、地名にも北欧語が残っていたりする。なんとストックホルムという村名もあるほどだ。農牧畜民の彼らだからこそ、故郷からその牧畜犬を伴っていた可能性は高い。ペンブロークシャイヤにやってきた彼らのイヌが新天地にてやはり牛追い犬として活躍し、後にコーギーとなったという推測が立つ。
ただしこの説の反対を唱える人もいる。ウェールズには最初からコーギーのプロトタイプのイヌがいた、ということ。そしてヴェスタヨータスピッツはバイキングがウェールズから半島へ帰るときに連れ帰って出来上がったという犬種ではないか、というものだ。イギリス人ならこの説に納得しそうだが、北欧人はこう反論するだろう。
「イギリス原産のスピッツ系のイヌがコーギーの他にいる?」
国犬の多さでは世界一を誇るイギリスであるが、スピッツ・ルックスのイヌがコーギーを除いて他にいないのはそういえば不思議なこと。もしスピッツ犬がイギリスにネイティブとして存在していたら、他に犬種がいてもよさそうだ。一方で、北欧にはヴァルフンドを始めたくさんのローカル・スピッツ犬がいる。