イギリス生まれの犬種とイギリス犬事情①
皆さんは、愛犬の犬種の歴史を知っておりますでしょうか。本日から3回に分けてグレートブリテンドッグの歴史をご紹介します。愛犬がどのような歴史をたどってきたのか覗いてみましょう。
イギリス生まれの犬種とイギリス犬事情
・文:藤田りか子
英国人は犬種作りの名手
大英博物館のコレクションもすごいけれど、彼らの犬種のコレクションも負けずにすごいと思うのです。原産国犬の数は世界一!その数全部で約60種。おそらくイギリス人の、物事への博物館的興味も手伝っているのではないのでしょうか。各地にちらばっていた「農家の害獣退治犬」、すなわちテリアを、個々の地方的特徴を捉えてスタンダードを作り、犬種にしたてあげました。これだけでも、すでに数十種の犬種ができあがってしまいます。
のみならず、18世紀から19世紀にかけて、世界中の地犬を「発掘」しては、それを持ち帰り、すばやく「純粋培養」を行い、これまたさっさと犬種として確立させました。今ごろになって、アフガンハウンドには実はさまざまなみかけの犬がアフガニスタン周辺の中央アジア諸国にいることが、人々に知られるところになっています。が、当時たまたま持ち帰ったたった数種のタイプを元にして、そこからひとつのアフガンハウンドという犬種に仕立て上げたのですから、その繁殖技術の成熟度もおしはかれるというもの。
パグ、ポメラニアンのような、もともと外国起源の犬が、王室の大のお気に入りペットとなり、王族あげて、貴族や名士たちがこぞって繁殖に参加したのも、当時の犬種ブーム動力源となりました。
狩猟犬種も例外ではありません。カナダの東岸から持ち帰った漁師の犬は、お金と暇にまかせた熱心な狩猟家の手にかかり、いつの間に、ラブラドール・レトリーバーという世界一の鳥猟回収犬となって登場。1800年代、人々の犬の繁殖趣味は大ピークでした。イギリス人はスポーティング・ドッグ(狩猟犬種)とノン・スポーティングドッグにわけて、品評会を始めだしたものです。これがすなわち、現代のドッグショーへ発展してゆきました。