皆さんは、愛犬の犬種の歴史を知っておりますでしょうか。今回は柴の歴史をご紹介します。愛犬がどのような歴史をたどってきたのか覗いてみましょう。
柴の犬種としての歴史
日本には昔から柴のような、地犬がいました。それが四国にいたり紀州にいたり。ある時それを保存しようという機運が盛り上がりました。日本犬保存会は中型の日本犬、小型の日本犬、大型の日本犬とサイズにわけての保存を提唱しました。最初の日本犬の保存の歴史において四国犬や紀州犬というカテゴリーはありませんでした。
1934年に日本犬保存会で小型の日本犬のスタンダードが制定されました。しかし文部省は1931年から1937年の6年間で日本犬7種を国の天然記念物指定しました。ここで犬種名を用いることになり、犬種としての区分が登場することになります。小型日本犬を天然記念物として指定するときに柴犬をいう呼び方を使ったことからこの名前が犬種名として定着します。柴とは、「小さなもの(犬)」を意味します。
ただし柴という言葉が使われたのは、大正の時代からではないかとも言われています。中部山岳地方において赤毛の小型犬がそんな風に呼ばれていたという説もありますが、はっきりとはしていません。その頃小獣猟や鳥猟に使われていました。
海外における柴のあり方
筆者は海外でも北欧に住んでいるので北欧から見た柴という犬についてここで記したいと思います。柴は日本犬の中でも今海外で人気がとても高い犬種です。以前は秋田が断然ポピュラーだったのですが、今は柴の方がもしかして多く飼われているかもしれません。北欧にはたくさんの柴がいます。スウェーデンであれば柴人口は2000頭。人気の理由は、賢い、清潔、手軽なサイズ。そして小さいにも関わらず、スピッツ犬種の精神そのものを持っていること。
柴愛好家、その中でもブリーダーであれば日本犬保存会が記している日本犬の気質を示す単語をスラスラと日本語でいいうことができるものです。
「Kan-i」 (悍威)
「Ryosei」(良性)
「Soboku」(素朴)
これら微妙な言葉のニュアンスについてスウェーデン人の柴愛好家は驚くほど正しい解釈をしています。
「悍威とは強くて威厳があり、それで性格がよいということ。立たせたときに、耳がきちんと立って、尾がくるっと巻いて、目つきが厳しくて。そんな風に理解をしています」
とある柴のブリーダーは語ってくれました。
柴は小型で飼いやすいというところにも人気は集まっているのですが、ぬいぐるみのような可愛らしさ、羊のような従順さ、などは誰も期待していませんし、そもそも求めていません。
「こんなにワクワクさせる性格の犬はいませんね。気質が魅力的です。初めて出会ったときから、その風格と落ち着きのよさに、すでに感じるものがあったといっているぐらいです。野生動物のカンがまだ一杯残っています」
狩猟犬として才能は今の柴たちにも見出される
その昔、柴が小獣猟や鳥猟に使われていたと述べましたが、その才能は今も保たれています。日本犬のようなスピッツ犬種使う狩猟がさかんな北欧では、柴犬の猟犬としての才能に多くの愛好家が気づいています。とある柴犬愛好家は、スウェーデンの柴犬フォーラムにこう語っています。
「柴はキジに反応するよね、とよく仲間内で話していたんです。じゃぁ、実際にどんな風にキジと対決するのか、ある日野原に出て、キデ(犬の名前)放してみました。そうしたら一気に猟欲に目覚めましたね。キジたちは溝の草むらに隠れていました。キデはしばらくして、ピョンと草の中にジャンプをしました。すると、そこからキジがギャァギャァと鳴きながら飛び立ちました。それを追いかけようともせず、こんどはそこから10m離れた草むらに入り、再度ピョンと。次の瞬間、また一群のキジが飛び立ちました。こんな風なことを10分間ほど続けて、その後、興奮して走り回るわけではなく、私の横についていつものように落ち着いた調子で散歩を続けました」
北欧には実際に猟犬として使われている柴もいますが、しかしほんのごく一部です。ほとんどは、家庭犬。猟犬として山に放してもらえる柴だって、普段は室内でごく普通のコンパニオンドッグとしてすごしています。仕事好きで訓練性能がいいのは、多くの愛犬家が同意しているところでしょう。アジリティやオビディエンス、ノーズワークなどドッグスポーツ競技会に参加する柴犬は決して珍しくはありません。中には、かなり上のクラスまでいく柴もおり、ラブラドールレトリーバーやボーダーコリーと対等競っている犬もいるほどです。