その歴史
レトリーバーとは6つの犬種で成り立つ犬たちの総称です。世界中で知られている犬種ですが、実はそれほど歴史が古いわけではありません。1600年代、イギリスやフランス、ポルトガルから、人々はタラ漁のためにカナダのニューファンドランド諸島に入植を始めました。1800年代になって、現地の漁師が飼っていた犬にイギリスの交易者が注目をし始めました。その犬は漁師の手助けをしていたそうですが、人とのコンタクト欲が素晴らしくよく、作業犬として最高の性能を備えていました。イギリス人は、猟犬として使えることに気がつき本国に連れて帰りました。そして領地を持つ貴族に売り始めました。ここから現在のレトリーバーの基礎が出来上がったのではないかと考えられています。
ただし連れてきた犬をそのまま使うのではなく、イギリス人のことですからいろいろなタイプの犬種と掛け合わせ、猟犬としての性能をさらにパワーアップさせました。まずはイギリス土着のウォータースパニエルなどを掛け合わせてできたのがカーリーコーテッド・レトリーバーです。その後、セターなどを掛け合わせてゴールデン・レトリーバーやフラットコーテッドレトリーバーができあがります。 ラブラドール・レトリーバーは実はカナダのニューファンドランド島にいた犬そのものなのですが、ボーダーコリーの祖先犬となった牧羊犬など他の犬の血をいれて、作業性能をアップさせたと言われています。
それぞれの容姿
レトリーバーと一言に言っても、犬種によって見かけは様々です。
ゴールデン・レトリーバー
その特徴は体全体から醸し出されるフレンドリーさと優しさですね。ゴールデンにはただしフィールド系というのも存在します。私たちが通常みるのはショーや家庭犬タイプといわれているものです。体の作りも性格も家庭犬タイプとは全く異なっています。スリムで脚長、赤っぽい個体がフィールド系には多いです。動きも家庭犬タイプより素早く、作業力は旺盛です。
ラブラドール・レトリーバー
頭部、胸、腹、腰と体の部位がどこも幅広く、がっちりな造りのラブは男性的な印象を与えます。しかしラブの第一の特徴は「オッターテール!」です。オッターとはカワウソの英語です。これはレトリーバー界のみならずイヌ界のなかでもユニークな尾。ラブの性格と並んでそのトレードマークともいうべき特徴です。付け根が太く徐々に細くなりますが、毛が密に生えているのでやや丸みを帯びかわうその尾のように見えます。体全体がオイルコートに覆われ、とてもツヤツヤして見えるのも、ラブラドールレトリーバーらしさですね。
フラットコーテッドレトリーバー
長い毛のためでもあるのですがフラットコーテッド・レトリーバーは脚が長く頭部も細く、レトリーバー種の中では最もエレガントな犬です。しかし優雅さだけが全てではありません。運動選手のように体に締まりがあり、力強さ、エネルギーといった躍動感も体全体に溢れているのが特徴です。
チェサピークベイ・レトリーバー
アメリカの東海岸を故郷にするレトリーバーです。凍てつく海の水が猟場になるために、やや巻き毛のはいった分厚いコートを身につけています。コートカラーもデッドグラス(枯れ草色)やブラウンなど独特なものがあります。
ノヴァスコシア・ダックトリング・レトリーバー
他のレトリーバー種よりやや小型。オレンジのコートが特徴です。さらに足の先と尾の先にホワイト・マーキングがあるのもチャーミングです。ノヴァスコシア・ダックトリング・レトリーバーは、個性のある顔つきをしています。ヨーロッパでは「物悲しそうな表情」とよく言うものです。目の辺りになんとも憂いがあります。しかし性格はその正反対、動くテンポは速く活発な犬です。
カーリーコーテッド・レトリーバー
レトリーバーの世界の中で一番印象の強い見かけをしているのが、カーリーコーテッド・レトリーバーでしょう。全体が細かい巻き毛に覆われているのに、顔部はつるり。あまりにも特徴的なので、「好き!」という人と「嫌い!」という人の好みがはっきり分かれるようです。
そしてレトリーバー犬種中で最も背が高い犬種。スタンダードでは62cmから67cmぐらいですがが、時には70cmもの巨大な個体もいます。