世界のケネルクラブ、そしてFCI(世界畜犬連盟)で定められている犬種グループの種類は主に犬種がつくられた歴史的な使役、系統によって分けられています。しかし現在、日本のようなアーバンライフ(都市生活)を送る人が大多数の国において、歴史に基づいたグループ分けをみても、ピンと来ないことがあります。つまり、もうちょっと犬種を理解しやすい分類が今必要なのかもしれません。
そうすれば、のんびりと愛犬と暮らしたい人がうっかりシベリアン・ハスキーを飼ってしまう、という間違いもおこりにくくなります。今のグループ分けだとグループ5というところにシベリアンハスキーが入っています。スピッツ種のグループですね。ここには柴も含まれています。柴とハスキーではやはり同じライフスタイルは送れません。運動量はシベリアンハスキーの方が俄然多く必要とされます。
ユニバーサルな家庭犬
これから犬を求める人にとっても、何を指標にすればいいかガイドラインとなるような犬種分類を以下に提案します。
まず一つは「ユニバーサルな家庭犬」というカテゴリーです。要するに世界中で家庭犬として定評のある犬種が集まっています。定評がある、ということは比較的飼いやすいことを意味します。ただし、これは運動をしなくてもいいという意味ではありません。サイズ、性格にかかわらず、犬は運動が必要な生き物です。これは決して忘れないでください。このカテゴリーには以下のようにサブカテゴリーがあります。
飼い主といっしょをとことん楽しむ小型犬:チワワ、シーズー、マルチーズ、狆、ペキニーズ、ヨークシャーテリア
明るい気質が好きな人向きの小型犬:ポメラニアン、パグ、キャバリア・キングチャールズスパニエル、ボストンテリア、フレンチブルドッグ
小粒でもぴりりと辛いタイプの小型犬:ダックスフンド、ミニチュアシュナウザー、ミニチュアピンシャー、ウェストハイランドテリア、スコッチテリアその他小型テリア種
朗らかスポーツ系小型犬:パピヨン、コーギー、トイ・プードル、その他小型テリア種
朗らかスポーツ系中型犬:シェトランド・シープドッグ、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、ミニチュア・プードル
朗らかスポーツ系大型犬:ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、スタンダード・プードル
イヌなのにネコ型気質:ウィペット、イタリアングレーハウンド
気を引き締めて飼いたい犬
このグループは飼い主が犬との付き合い方を心得ていれば、すばらしい家庭犬になってくれる犬種達です。一方で必ずしも誰でもが簡単に飼えるという犬種ではありません。経験者向きです。自立心が強すぎる、防衛心が強すぎる(見張り癖がある)、サイズが大きすぎる、あるいはエネルギーに溢れすぎているなど、何かしら一癖あります。このカテゴリーには以下のサブカテゴリーがあります。
立ち耳、巻き尾が凛々しい面々:柴犬、紀州犬、四国犬、北海道犬、日本スピッツ、ケースホンド
自分の世界に浸り型で自分の趣味を強く持つ犬:ビーグル、バセットハウンド
おっとりのんびりの超大型犬:バーニーズ・マウンテン・ドッグ、グレート・ピレニーズ、セントバーナード、ニューファンドランド、レオンベルガー、グレート・デーン
ノリがいい!タイプ:フラット・コーテッド・レトリーバー、ジャック・ラッセル・テリア、ダルメシアン、ポインター、イングリッシュ・セッター、アイリッシュ・セッター
走るの大好き、脚長犬:サルーキー、ボルゾイ、グレー・ハウンド、アイリッシュ・ウルフハウンドなど
ファイトの精神たっぷり、防衛気質も十分のマッチョタイプ:アメリカン・スタフォードシャー・テリア、ブルテリア、秋田犬、ローデシアン・リッジバック、ボクサー、ロットワイラー
一筋縄ではいかないでもドッグ・スポーツに最適
このグループには運動の他に頭脳に刺激が必要な犬種が集まっています。ドッグスポーツ訓練能力等が問われるので経験者向き。中には番犬本能が強く、動じない強い性格の飼い主を必要とする犬種もいます。しつけの失敗は絶対に許されません。必ずきちんとした知識を持って飼うこと。このカテゴリーには以下のサブカテゴリーがあります。
古典的ワーキングドッグ:ジャーマン・シェパード・ドッグ、ベルジアン・シェパード(タービュレーン、グローネンダール、マリノア、ラケノア)、ホワイト・シェパード、ボクサー、ドーベルマン、ボーセロン、ホフヴァルト、ブリアード、ロット・ワイラー、ジャイアント・シュナウザー
超アクティブ・スポーツ犬:ボーダー・コリー、ケルピー、オーストラリアン・シェパードノバスコシア・ダック・トリング・レトリーバー、オーストラリアン・キャトルドッグ、ワイマラナー、ジャーマン・ポインター、ビズラ